編集部:
『終活整理手帖』の特別企画として、終活にまつわる事業をされている方々の対談をお届けしておりまして、今回は、当メディアではおなじみの相続コンサルタントの島崎先生と一緒に、株式会社WataSelicaさんにお話を伺ってまいろうと思います。
よろしくお願いいたします!

画面左より(敬称略)

赤羽 真聡 (あかば まさとし)
株式会社WataSelica 代表取締役

島崎 岳彦 (しまざき たけひこ)
相続診断士・経営コンサルタント/Sprout 代表
赤羽:
株式会社WataSelicaの代表取締役の赤羽と申します。
前職では、終活プラットフォーム事業や海洋散骨、墓じまいなどのライフエンディング事業に携わり、多くのお客様の終活に関するご相談をお受けしてきました。
その経験から、一つのサービスだけではなく、お客様一人ひとりに合った選択肢を総合的にご提案できる存在が必要だと感じ、昨年、株式会社WataSelicaを設立しました。
海洋散骨は「お墓の一種」という新しい選択肢
編集部:
今回、WataSelicaさんのされている事業のひとつ、「海洋散骨」をテーマにお話伺っていきたいと思ってます。
赤羽:
まず大枠として、海洋散骨はお葬式ではなく「お墓の一種」という括りでご理解いただくのが一番分かりやすいかと思います。
火葬された後のお遺骨をどこに埋葬するかという選択肢の中で、従来のお墓や樹木葬、納骨堂と並ぶ一つの形態が海洋散骨です。
島崎:
お墓の一種ということなんですね。
散骨を行うにあたっての実際の具体的な手順としてはどうなっているのでしょうか。
赤羽:
基本的には、お骨をパウダー状にして「祭祀(さいし)」の心をもって執り行うのが海洋散骨です。
単なる廃棄処分ではなく、しっかりとお別れをする儀式です。
島崎:
なるほど。
しっかりと儀式としてお墓の代わりに海に還すということなんですね。
一緒に船に乗って撒くところまで参列するんですか?
赤羽:
その辺は、ご依頼主様によっていろいろですよ。
大きく分けて「チャーター散骨」「合同(乗り合い)散骨」「代行(委託)散骨」の3つがあります。
船に乗るか乗らないかで費用感が変動します。
チャーター散骨は一隻貸切、合同散骨は複数家族で乗船、代行散骨はお骨をお預かりして事業者が代わりに散骨する形です。
編集部:
船に乗って自らの手で散骨される際、現場ではどのような供養が行われているのでしょうか。
赤羽:
お骨を撒いた後、一緒にお花を海に撒きます。
お花は故人様への手向けであると同時に、波に乗って流れていく「道しるべ」の役割を果たします。
赤羽:
流れていくお花の道を最後まで見届けることで、ご遺族は「ちゃんとお見送りできた」と実感し、心の区切りをつけることができます。
これが祭祀の目的を果たすということです。
島崎:
単に処分するのではなく、道しるべを見送るという儀式がご遺族の心を救うわけですね。
海洋散骨は違法?気になる法律を解説
編集部:
ちなみに、よく質問される点かもしれませんが、お骨を海に撒く行為は法律違反には当たらないのでしょうか?
赤羽:
結論から申し上げますと違法ではありません。
2021年に厚生労働省がガイドラインを発表しており、散骨事業者向けの指針が示されています。
島崎:
海岸や浜辺から直接撒いても良いものなのでしょうか?
距離などの基準はあるのでしょうか。
赤羽:
陸地から見えず、人が生活しているエリアから離れた場所で撒く必要があります。
具体的には1海里(約2km)以上離れた海域で行うのが日本海洋散骨協会が示すガイドラインです。
海外のグアムなどでは、許可申請時に「パウダー」か「人骨そのまま」かを選択するチェック項目があり、国によってルールや文化が大きく異なります。
島崎:
海外では人骨のまま撒ける地域もあるのですね!日本でパウダー化が必須なのはどうしてでしょうか。
赤羽:
お骨の形のまま漂着した際事件と誤解されるのを防ぐため、また「遺体の棄棄ではなく供養である」証明として基準が設けられています。
編集部:
日本国内で年間どれくらいの海洋散骨が行われているのか、行政などの統計データはあるのでしょうか?
赤羽:
実は自治体への届出が必要ない供養方法のため、正確な全国統計は存在しません。お墓などに埋葬する際と異なり、埋葬許可書の提出義務がないからです。
日本海洋散骨協会(約60社加盟)では年間約6,600件を公表していますが、全体としては全国で年間2万〜3万件ほど実施されている体感です。

年間17万件を超える墓じまいとその先の選択肢
島崎:
管理料もかからず経済的にも非常に合理的だと感じます。実際に海洋散骨を希望されるのはどのような理由からなのでしょうか。
赤羽:
多くの方は生前にご本人が「散骨したい」とご家族に希望を伝えられています。
「海が好き」「お墓は暗くて嫌」「自然に還りたい」という想いが中心です。
そしてもう一つ、非常に大きな要因となっているのが「墓じまい」からの散骨です。
現在、日本全国で年間約17万6,000件もの墓じまいが行われています。
島崎:
年間17万6,000件!1日に換算すると約450件、3分に1件のペースで墓じまいが行われている計算になりますね。
ものすごい勢いです!
赤羽:
先祖代々のお墓を子や孫に管理させる負担を考慮し、墓じまいをして先祖のお骨を海洋散骨や永代供養に改葬される方が非常に増えています。
編集部:
散骨する場所は、やはり故人様やご家族のゆかりの地を選ばれるのでしょうか?
赤羽:
はい。弊社では全国50箇所以上の海域で対応できるようにしています。
住んでいる場所にこだわらず、新婚旅行で行った思い出の海や故郷の海などを選ばれるのが理想的です。
お骨をパウダーにして分けて、半年かけて全国6箇所の海に少しずつ散骨されたお客様もいらっしゃいました。
思い出の地に還すという素晴らしい供養の形です。
島崎:
分骨して複数の場所に散骨するという発想はありませんでした!
非常に柔軟で、遺族にとっても前向きになれる素晴らしいストーリーですね。
生前に準備しておきたい費用・契約方法を解説
編集部:
本人が海洋散骨を望む場合、生前にどのような準備や手続きを行っておく必要があるのでしょうか?
赤羽:
提携している弁護士や司法書士を通じて「任意後見契約」や「死後事務委任契約」を結び、その中のオプションとして海洋散骨を指定していただく形が確実です。
おひとり様問題も増える中、士業の先生方が選択肢として提示してくださることで、安心した生前整理が可能になります。
島崎:
相続相談の現場でも「家族に迷惑をかけたくない」とおっしゃる方は非常に多いです。
遺言書や遺言代用手続の段階でこの選択肢を伝える意義は大きいですね。
赤羽:
ちなみに費用面でお伝えすると、弊社でお骨をお預かりして散骨する「代行散骨」の場合、粉骨料込みで7万7,000円(税込)から実施可能です。
島崎:
7万7,000円ですか!?一般的なお墓を建てると200万円前後、樹木葬や納骨堂でも50万〜100万円ほどかかりますから、驚くほど手厚くリーズナブルですね。
赤羽:
維持管理費も一切かかりません。
経済的理由でお困りの方にとっても、しっかりと心を込めてお見送りできる正当な供養手段として定着してほしいと考えています。
編集部:
実際に船へ乗船する「チャーター」と、お任せする「代行」では、どちらの利用割合が多いのでしょうか。
赤羽:
弊社では墓じまい経由のご依頼が多いため、圧倒的に「代行散骨」が多いです。
船酔いを心配される高齢の方や、遠方にお住まいの方にも選ばれています。
島崎:
葬儀のように、オプションが増えると費用が不透明に膨らんでいく心配はないのでしょうか?
赤羽:
個人的な見解ですが、散骨は葬儀社さんのプランに比べると項目が明確で明瞭会計です。
お花やお酒など必要なものはすべて含まれており、ご希望がない限り追加費用はありません。
「手元に残したい」という想いに応える「遺骨真珠」
編集部:
とても素晴らしいと思う一方で、個人的に気になるのは、「すべての骨を海に撒いてしまうと手元に残らず寂しい」と感じたりする方はいらっしゃいませんか?
赤羽:
仰る通りです。
そのため全ての遺骨を散骨せず、一部をお手元に残す「手元供養」を併用するという方法もあります。
まさに、弊社では新しい取り組みも行っていまして、それが「遺骨真珠」というサービスです。
アコヤ貝の核の中に遺骨と識別用ICチップを入れ、海の中で真珠を1年間大切に育てる手元供養品です。
島崎:
お骨から綺麗な真珠が誕生するのですか!
1年の歳月をかけて真珠層で包み込まれるというのは、非常にロマンがあり心に温かいものが残りますね。
赤羽:
ダイヤモンド等に比べて費用を抑えて遺骨を含む宝石ができ、ペンダントやタイピンとして身につけていただけます。
「大切な人をいつも身近に感じられる」と大変好評をいただいております。

「選択肢を知ること」が後悔しない終活につながる
編集部:
海洋散骨や遺骨真珠など、供養の選択肢が広がることによって、今後の終活や相続の現場にはどのような変化がもたらされるとお考えでしょうか。
島崎:
少子高齢化が進み、従来型のお墓を維持・継承していくことが困難なご家庭が増えています。
その中で散骨や手元供養は非常に現実的かつ温かい解決策です。
「後に残される子供たちに迷惑をかけたくない」というご相談者様に対し、自信をもってご提示できる素晴らしい選択肢だと確信しました。
赤羽:
私たちが強調したいのは、海洋散骨を無理にお勧めしたいわけではないということです。
大切なのは、お客様のご事情や想いに合った「選択肢」を選ぶことです。
赤羽:
海が好きだった、思い出の地に還りたい、家族に負担をかけたくない。
そうした想いを受け止め、前向きにお別れができる環境を整えることが私たちの使命です。
編集部:
供養の形が変わっても、故人様を想い感謝を伝えるという本質は変わりませんね。
読者の皆様にとっても、終活を前向きに考える素晴らしい機会になったかと思います。
赤羽:
悲しみだけで終わるのではなく、「ありがとう」と言って笑顔で見送れるような供養文化を、これからも丁寧に作っていきたいと思います。
島崎:
本日は非常に有意義でおもしろいお話をありがとうございました。
現場の相談会でもしっかりとこの前向きな選択肢をお伝えしていきます。
編集後記
今回の対談では、海洋散骨を「お墓の一種」という視点から捉え直すことで、その本質が単なるお遺骨の処分ではなく、故人を想い、心を込めて送り出すための供養であることがよく伝わってきました。
また、墓じまいや少子高齢化といった時代背景を踏まえると、供養の形も多様化していくことは自然な流れなのかもしれません。
大切なのは、どの方法を選ぶかではなく、ご本人やご家族の想いに合った選択ができること。
本記事が、ご自身やご家族にとって納得できる供養のあり方を考えるきっかけになれば幸いです。
そして、今回対談にご協力いただいたWataSelicaさんの事業については、コチラの記事でも紹介しております。
是非、チェックしてみてください!
