特別対談

【特別対談】「ウチには価値のあるものなんてない…」って本当?!買取のプロが語る「生前整理」

編集部:
『終活整理手帖』の特別企画として、終活にまつわる事業をされている方々の対談をお届けしておりまして、今回、日本買取センター株式会社の長岡さんをお招きし、買取業者から見る終活について、相続コンサルタント島崎先生と一緒にお話を伺っていきましょう。
よろしくお願いいたします!

画面左より(敬称略)

長岡
長岡

長岡 拓馬 (ながおかたくま)
日本買取センター株式会社 関西営業所統括

島崎
島崎

島崎 岳彦 (しまざき たけひこ)
相続診断士・経営コンサルタント/Sprout 代表

長岡:
日本買取センターの長岡拓馬と申します。
新卒で出張買取の大手企業に入社し、着物メインの訪問買取を4年半ほど経験しました。
その後、保険会社でライフプランやシニア向けの提案を学び、今年7月から現職におります。
弊社は出張買取サービスを展開しており、生前整理や遺品整理、相続案件の不用品を現金化しています。

島崎:
こちらの対談企画には3度目の登場ですね。(笑)
何度か自己紹介させていただいてますが、現在、専門家の皆様を一堂に集め、相談者のお悩みを解決する「相続相談会」をメイン事業として展開しております。
そこで長岡さんにはいつもお世話になっております。


生前整理と遺品整理って何が違う?「モノを残さない」という思いやり 

編集部:
ということは、お二人はその「相続相談会」をきっかけに出会われたのですね。

島崎:
経営者仲間から「関西で相続相談会をやるなら、活きの良い買取の担当者がいるから是非!」と長岡さんを紹介されたのが始まりです。

編集部:
終活というジャンルにおいて、買取はどのような出番や役割があるのでしょうか。

長岡:
一番大きな出番は「生前整理」ですね。
生前にご自身の持ち物を整理する際にサービスをご利用いただきます。
長年眠っていた品物がお金になると考えている方は少ないので、出張買取で価値をお伝えし、喜んでいただく機会が多いです。

編集部:
「生前整理」なんですね。
てっきり、ご遺族様が行う「遺品整理」のイメージが強かったです。

長岡:
遺品整理のご依頼自体も非常に多いです。
ただ亡くなった後の家財処分でご家族が苦労されるケースが多く、「子供たちに同じ思いをさせたくない」という理由から、ご自身の代で整理を進める生前整理のニーズも近年急速に増えています。

編集部:
生前整理と遺品整理では、どのような違いがありますか。

長岡:
ご自身のものを手放すのか、お亡くなりになった方の思い出の品を手放すのかで感情面が大きく変わります。

編集部:
それって、どちらの方が手放すのに抵抗があるのでしょうか?

長岡:
お亡くなりになった方の思い出の品を手放すことの方が多いです。
残された息子様や娘様の方が「お母様が大切にしていたから」と捨てるのに忍びなさを感じ、手放しにくいと伺います。
ご本人が生前整理をする方は、ご自身で意思決定できるため、結果として周りに迷惑をかけずに済みます。

島崎:
補足すると、生前整理を希望して相談に来られる方は、すでに「処分したい」という一定の意思を持っている場合が多いですよね。
もちろん、「自分では決めきれないからジャッジをサポートしてほしい」というニーズもあるでしょうが。

長岡:
まさしくその通りで、「これどうしたらいいかしら」と悩まれるお客様の背中を優しく押してあげるのも、僕たちの重要なお仕事だと思っています。
ですので、どのようなケースであっても、お客様の思い出や思い入れをしっかり汲み取った上で、大切にしてくださる次の所有者様へ橋渡しをすることが私たちの役割です。


その買取業者は安心?プロの「目利き」と信頼の仕組み

編集部:
なかなか高度な技術や判断が求められる業務な気がしてならないんですが、買取に関して特別な個人資格などは必要なのでしょうか。

長岡:
会社として都道府県の公安委員会管轄の「古物商許可」を取得する必要はありますが、個人が必要な国家資格などはありません。
「〇〇整理士」などの民間資格もありますが、結局、現場で重要になるのは、個人の「目利き力」と知識の量ですし、何よりも大切なのは「お客様の思いを汲み取る力」かなと思っています。

島崎:
目利きといえば、御社は他社が見落としたとんでもない価値のあるお宝を見つけたという話を耳にしましたよ。

長岡:
よくご存知ですね。(笑)
何社も査定に入った後に弊社が伺い、誰も気づかれてなかったとある壺を見つけ出して、その査定額が数百万円規模だったなんて案件もありましたね。

編集部:
7~8社が見逃した品を見抜いたのですね!
まさに現場での知識と目利きの真骨頂です。

島崎:
ただ、買取業界と聞くと、昨今トラブルも多くネガティブなイメージを持つ一般の方も少なくありませんよね。

長岡:
おっしゃる通り、そもそもご自宅に他人をあげる恐怖心もあるでしょうし、強引な買取だったり騙されたりするんじゃないかという疑念はあると思います。
だからこそ第一印象とコンプライアンスの徹底が不可欠です。

島崎:
具体的な、そうした不正を防ぐための仕組みはあるんですか。

長岡:
弊社では、お客様のご自宅で査定員が一人で勝手に部屋を探すことは絶対にしません。
2階のお部屋やクローゼットを見る際も、必ずお客様に同行していただき、扉や箱を開けるアクションもすべてお客様ご自身に行っていただきます。
お客様から扉や箱を開けるアクションを依頼された場合は同席の元、弊社側でアクションすることもあります。

編集部:
すべての作業をお客様の目の前で行うことで、双方の誤解やトラブルを防ぐのですね。

長岡:
また、商談中のやり取りは、お客様のご了承を得たうえで必ず録音データを残しています。
言った言わないのトラブル防止はもちろん、適正な価格でお渡ししているかというエビデンスを社内で厳格に管理しています。

島崎:
録音やお客様主体の動作徹底は素晴らしいですね。
御社が目指されている上場という目標も、こうした社会的な信頼とコンプライアンスの担保に直結していると感じます。


相続財産は現金だけじゃない!知らないと困る「モノ」の価値

編集部:
そもそもなんですが、買い取ってもらうということは、現物ではなく現金にして相続するということに繋がるのかなと思うのですが、何か税制上のメリットなどはあるのでしょうか?

長岡:
現実的には「税金上の優遇」ということよりも、「心の問題」や「遺族の負担軽減」という観点で現金化される方が多いです。
使わない古着や時計をそのまま渡されてもご遺族が困ってしまいますから。

島崎:
本来は物品であっても相続税の対象ですが、実務上で全物品をキッチリ捕捉するのはなかなか困難です。
だからこそ「残された家族に処分で悩ませないようにする」というおもいやりで生前整理・現金化を進めるのが本質ですね。

長岡:
数千万円単位の金塊など特殊な品でない限り、数万円~数百万円規模の整理では「思い出をどう良い形につなげるか」という気持ちの部分が何より大切にされています。

島崎:
ちなみに、これまでに「対応が難しかった特殊な事例」や「買取の裏話」とかって何かあります?

長岡:
それこそ、先ほど少し触れた特殊な品の事例なんですが、インゴット(金の延べ棒)の査定案件はなかなか印象深かったですね。
実はインゴットには「日本製」と「海外製」の2種類があり、買い取りの際のリスクが大きく異なります。

編集部:
金って全世界共通じゃないんですか?!

長岡:
日本製だと品質証明が確かなのですが、海外製は不純物の混入リスクや密輸に関わる懸念、国内での再流通経路の制限などがあり、買い取る側のリスクが跳ね上がります。
数年前に倒産した海外メーカ―のものもあったりして、その場合はなかなか大きなリスクになります。

編集部:
高価な品物でリスクがあるとなると、買取業者としても相当な判断が必要になりますね。

長岡:
少量だったらそこまで問題ありませんが、その時はそれなりの量がありまして。
売却できなかった場合の大損害を考えると非常に悩みました。
最終的には無事にお買い取りさせていただきましたが、非常に緊張感のある取引でした。


「これも売れるの?」査定員の“連想と提案”で見つかる家の中の隠れ資産

長岡:
先ほど、現金化のメリットに関して、「税金上の優遇」よりも、「心の問題」や「遺族の負担軽減」とお伝えしたのですが、もうひとつメリットとして、「これはもう価値がないだろう」と思って捨ててしまいがちなもので、実は買取価値が高い品物だったなんてこともありますね。

編集部:
あ、なるほど、価値を見落とさないということも買取業者さんに見てもらう大きなメリットですね!
ちなみに、例えばどのようなものがありますか?

長岡:
一番代表的なものは「昔のフィルムカメラ」ですね。
長年押し入れに眠っていて動かなくなっている故障品であっても、生産終了による希少価値から思わぬ高値がつくことがあります。
あとは、古銭や昔の記念切手、それからご自宅にある花瓶やツボなどの焼き物ですね。
骨董品とまでは言えない現代作家の作品であっても、市場需要があって意外な高値がつくケースは多々あります。

島崎:
取っ手がちぎれたブランドバッグや、石が取れてしまった指輪、ちぎれた金ネックレスなども買い取り対象になりますよね。

長岡:
はい、貴金属やブランド品であれば破損していても問題なくお買い取りできます。
「壊れているからごみ箱に捨てた」という方が本当に多いので、非常にもったいないと感じます。

編集部:
査定員の方は、お客様自身も気づいていないお宝をどのように引き出しているのでしょうか。

長岡:
「連想と提案」です。
例えばお着物の査定で伺った際、着物を着る方なら和装用の簪や帯留めをお持ちではないか、そこから昔のブローチや金のアクセサリーに繋がらないかとお聞きしていきます。

島崎:
なるほど、会話の中から関連する不用品をご自身で自然に思い出させてあげるわけですね。

長岡:
「そういえば昔もらったブローチがあったわ」「これって金だったの?」とお客様が思い出してくださり、査定額が上がってお部屋もすっきり片付く。
お客様に心から喜んでいただける瞬間です。

編集部:
着物そのものだけでなく、周辺の小物をフックにして隠れた価値を発掘していくプロの提案力ですね。

長岡:
ご自身で「価値がない」と決めつけず、まずは何でも専門家に相談して見てもらうことが何より大切だと思います。


モノと思い出を次世代につなぐ「買取と終活」

編集部:
長岡さんは大手買取業者から保険業界を経験し、再び買取の世界に戻られて事業をされていますが、この仕事に対する思いをお聞かせいただけますか。

長岡:
保険業界でライフプランやシニアの生活設計に触れたことで、単なるモノの売買だけでなく、相続相談会などを通じた包括的なサポートができるようになりました。
お客様から直接「ありがとう」と笑顔で喜んでいただけるこの仕事に大きなやりがいを感じています。

島崎:
不動産や相続の手続きと買取は切っても切れない関係です。
家を売却・解体する前の家財整理など、終活の全体像の中で買取が果たす役割は非常に大きいですね。

長岡:
家の中で長年眠っていたモノが現金化され、新しい所有者のもとで再び日の目を浴びる。
そして得られたお金でご家族と旅行に行ったり美味しい食事を楽しんだりできる。
モノと思い出を次世代につなぐ素晴らしさがこの仕事の醍醐味です。

島崎:
「うちには価値のあるものなんて何もない」とおっしゃる方に限って、素晴らしいお品物が眠っていることがよくありますしね。

長岡:
「値段がつかない」「価値がない」とご自身で決めつけず、まずは何でも気軽にご相談・ご利用いただければと思います。
早めの準備と相談が、結果としてご家族全員の幸福度を高めることにつながります。

編集部:
お二人とも、本日は終活における買取の奥深いお話と貴重なアドバイスをありがとうございました!


編集後記

今回の対談では、「買取」という言葉から想像する「不用品を売る」というイメージを大きく覆されました。

生前整理は、家族の負担を減らすだけでなく、大切なモノを次の誰かへつなぐ機会でもあります。
「価値がない」と決めつけてしまう前に、まずは専門家へ相談してみることが大切です。

終活や相続について少しでも気になることがあれば、ぜひ早めの準備を始めてみてください。
『終活整理手帖』では、専門家がお悩みに寄り添いながらサポートしています。
ぜひお気軽にご相談ください。

この対談に登場した先生

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