特別対談

【特別対談】不動産相続の専門家が語る、実家の売却で本当に頼れる会社の条件とは?!

編集部:
『終活整理手帖』の特別企画として、終活関連事業に携わってらっしゃる方々を招いての対談をお届けしておりますが、前回、弁護士の先生を2名お招きし実施した同業対談が好評でしたので、今回は、このお2方をお招きしてお届けできればと思います。

画面左より(敬称略)

浪江
浪江

浪江 将大 (なみえ まさひろ)
株式会社PIPELINE CONSULTING 代表取締役

中島
中島

中島 久道 (なかじま ひさみち)
株式会社ハウスフリーダム 茨木店店長

画面左より(敬称略)
・浪江 将大 (なみえ まさひろ)
・中島 久道 (なかじま ひさみち)

浪江:
株式会社PIPELINE CONSULTINGの代表を務めています浪江と申します。
終活における不動産の売却、いわゆる不動産の現金化、特に遠方物件の売却・処分というところを強みにさせていただいてます。

中島:
ハウスフリーダム茨木店の店長をさせていただいている中島と言います。
土地・中古戸建・マンションの仲介、もしくは中古の買取、土地の開発などを行っています。
主に北摂(大阪北部)エリアにて幅広く不動産のお手伝いをしています。 

編集部:
よろしくお願いいたします!


不動産売却は最後?!「売却」に至るまでの長い道程

編集部:
お2人とも不動産という領域で終活に関わってらっしゃると思うのですが、まず終活というテーマで考えたとき、どのような不動産の相談が多いですか。

中島:
やっぱり一番多いのは実家ですね。
親御さんが施設に入られたとか、お亡くなりになって誰も住まなくなったとかで、「この家をどうしたらいいですか」という相談は非常に多いです。

編集部:
やはり、「売りたい」という相談になるのでしょうか。

浪江:
いや、結果的に売却という話になることは多いんですけど、僕らが最初に考えるのは「売る必要があるのか」というところなんです。

編集部:
「売る必要があるのか」から考える、ですか?

浪江:
安易に売却というよりかは、まずはそこから始めます。
売却に至るまではいろんなプロセスがありますから、まずは全体像を見てジャッジすることが大切なんです。

編集部:
どのようなプロセスになるのでしょうか?

浪江:
まず、税理士が相続税のシミュレーションをして、相続税がどれくらい掛かるのか、それを払えるのかどうかを確認します。
そこで「納税資金がないから、不動産を売却しなきゃいけないですね」となると不動産の現金化に向けて動いていくことになり、相続登記を司法書士の先生にまとめていただき、そこまでできてようやく不動産を売却できるんです。

中島:
ちなみに、相続で揉めているケースだと、さらにこの手前に遺産分割の協議のため弁護士の先生のフェーズが入ることもありますし、不動産を売却と併せて遺品整理も発生します。

編集部:
なるほど。
不動産売却に至るのは、弁護士や税理士や司法書士の先生などのフェーズを経て、全体で見ると一番最後の方なんですね。

浪江:
だからこそ、遠方の処分しにくい不動産なんかは、相続相談に際して速やかに判断しタイムリーに各士業の方々と連携しないと、全体の段取りに迷惑をかけてしまいます。

中島:
だからこそ、早めの準備なんです。
直前になって慌てても、この順番を飛ばすことはできませんからね。


「みんなで相続」の感情論がトラブルを生んでしまう…

編集部:
ちなみに、「売る必要があるのか」から考えるという話もありましたが、売らない方がいいケースはどのようなものがありますか?
せっかくの住まい、売らずに相続人で分け合えないものかと。

浪江:
いやー、共有名義が一番揉めるんですよね。

中島:
お1人の方が引き継げば、その人の判断で売却もできますが、複数人で共有するとなると、売却するのにも全員の同意がないと無理なんです。
仲が良ければいいですけど、一人でも「売りたくない」となったら売れません。

編集部:
もし、その共有者の誰かが亡くなってしまったらどうなるんですか?

浪江:
それが一番厄介なんです。
その方のお子さん等が、その人の持ち分を相続し、共同管理人が増えるので、それが次の代、次の代と重なっていくと…。

編集部:
そうなると、全員の同意を取るなんて、ほぼ不可能に近くなっていくわけですね。

浪江:
だから、安易に共有にするのは避けた方がいい。
遺言で「一旦共有にするけれど、その後速やかに売却し、その売却したお金を分けてくれ」という形にしておくなども聞いたことありますが、その辺は弁護士の先生方の領分なので、一旦ここでは私から詳細な回答は差し控えさせてください。

中島:
ちなみに、「売らない方がいい」ではないですが「売らなくてもいい」ケースでいうと、相続税の払える分が現金でしっかり残されているのであれば、無理して生前に売却しなくてもいいとは思いますよ。
実際、不動産は持っている時よりも、高く売れる可能性を秘めていますから。

浪江:
親御様が「そこはずっと住み続けたい」と思われている場合も多いですしね。
住み慣れた土地から離れるのは心苦しいものですし、売却は親御様が亡くなられた後でもいいとは思います。

編集部:
資産背景によっても判断が異なるので、どのみち準備は早めにしておいた方がよさそうですね。


切っても切れない不動産と地域性の関係

編集部:
資産状況によるという話が出ましたが、地域性によっても差が出るんじゃないかなと思ってまして、せっかく地域密着型の中島さんと、遠方に強い浪江さんの対談ですので、この地域差についてもお伺いしてもいいでしょうか?

浪江:
本当にエリアによって全く違いますね。
私は東京、加古川、明石など全国を飛び回っていますが、中島店長、この辺の路面価とかの状況ってどうです?

編集部:
「路面価」?

中島:
相続税を計算するベースになる「相続税路線価」というのが道路ごとに決められていて、要は、どの道に面しているかによってその土地の価格の基準が決まるんです。
そして、ここ北摂(大阪北部)エリアは、実はかなり相場が高い地域なんです。
道路に設定されている路線価に対して、実際の取引価格が2倍、3倍になっている場所がザラにあります。

浪江:
だからなんですね。
やはりそうなると相続のリテラシーが高い人も多いですよね。
東京だとより顕著で、もう正直桁違いですよ。
不動産を持ってる時点で、相続税の課税対象になるのは当然のこと、年間で固定資産税も120万払っているみたいな状況なので、都会の人ほど相続への関心度が高いです。

中島:
この地域のお客様はご自身で熱心に勉強されていたり、AIを使って色々調べて準備されている方もおられて、情報感度が非常に高い印象があります。

編集部:
逆に、遠方だとどんな特徴がありますか?

浪江:
地方や郊外に行くと路線価自体が非常に低く、そもそも買い手を見つけること自体が困難な「処分に困る不動産」が多くなります。
こうなると相談内容も「どうやって高く売るか」ではなく、「マイナスになってでもいいから、どうやって手放すか」という話になってきます。
取るべき戦略はまったく異なるんです。

中島:
遠方と一口に言っても、先ほどの件は「都会から遠い」という意味でお話いただいてますけど、「買い手と売り手が遠い」という意味での遠方もありますよね。

浪江:
確かに、それもありますね。
遠方の不動産であればあるほど物件を直接見に行けません。
つまり、直接行かずとも買うような方、そうなると実際は一般の方ではなく業者さんであることがほとんどになるので、その地域の業者とのコネクションが重要になってきます。


その業者、本当に不動産相続できますか?

編集部:
いざ不動産を売却しよう、相談しようとなったとき、どのような会社に相談すれば良いのでしょうか?

中島:
よく「不動産会社ならどこでも何でもできる」と思われがちですが、実際は全然違います。
例えば病院にも、外科や耳鼻科や内科があるように、不動産会社にも「新築が得意な会社」「仲介が得意な会社」など、色々な専門分野があるんです。

浪江:
本当にその通りで、ホームページに「相続やってます」と書いてあっても、実務をほとんどやったことがない会社も多いのが実情です。

編集部:
では、本当に信頼できる会社をどう見分ければいいのでしょうか?

浪江:
私は、「相続専門の士業の先生たちと、普段から深く繋がっているかどうか」がすべてだと思います。
相続の実務は、冒頭でも話した通り、税理士・司法書士・弁護士の先生方との連携が不可欠で、不動産会社だけで完結することはあまりありません。

中島:
そうですね。実際、私たちはそういった士業の先生方と「相続相談会」を共同で主催して、何度も一緒にご相談をお受けしています。
この相談会を通じて、実務に強い先生方との太いパイプができているので、わからないことがあればすぐに専門的なアドバイスをもらえる体制があります。

浪江:
以前、相続に詳しくない方が半端に相続に携わったことで、書類に不備がありせっかくまとまりかけてた件が揉め直してやり直しになった、というようなトラブルもあったりしたらしいです。
相談した不動産会社が、実務に強い士業の先生と繋がっていれば、そんな悲劇は防げたはずです。
安全な取引のためにも、「誰と繋がっている不動産会社か」をぜひ見ていただきたいですね。


相談することが、終活の第一歩

編集部:
今日、お2人の話を伺っていて一番印象に残ったのは、「もっと早く相談していただければ、もっと良い選択肢があったのに」という、お二人のもどかしい想いでした。

浪江:
本当にその通りですね。
とにかく「早く動くこと」が大前提です。

中島:
逆に、金額よりも早く買い手が見つかる方がよくてスピード勝負なケースもあります。
そういう場合の対応もしっかり準備ができていればそのための戦略を練ることもできます。

浪江:
不動産は、一生の中でも特に大きな資産です。だからこそ、慌てて判断するのではなく、ご本人の意思を確認できるうちに方向性を考えておくことが大切だと思います。
だからこそ、終活の段階から相談していただく意味があるんです。「今すぐ売る予定はない」という方でも、現状を把握しておくだけで、将来のご家族の負担は大きく変わります。

中島:
時間がなくなってから駆け込まれると、選択肢が極端に狭まってしまいます。
中には、不動産の知識が薄いお客様に対して、相場よりかなり安い価格で叩いて買い取ろうとする悪質な業者も本当に存在しますので、まずは相続に強い税理士さんや司法書士さんに相談して、全体のシミュレーションを行ってからどうするか決めてほしいんです。

浪江:
そうやって「相続相談会」などを定期的に開催して、地域で実績を重ねている会社であれば、周りに信頼できるプロの先生方がたくさん揃っています。

中島:
まぁ、正直ね、私たちは不動産会社ですから、もちろん最終的には家を売ってほしいという気持ちはありますけどね。(笑)
でも、安易に売り急ぐのではなく、ご家族にとって一番の正解を選んでいただくことが最優先であり、そのために、私たちがいつでも相談の窓口になります。
是非「まだ早いかな」と思う段階でも、お気軽に相続相談会へ足を運んでみてください。


編集後記

今回の対談では、不動産売却のテクニックや価格の話以上に、「準備の大切さ」という言葉がお2人から何度も語られたことが印象的でした。

「相続したら売ればいい」「困ったら不動産会社に相談しよう」と考えがちですが、実際には、その前段階で整理しておくべきことが数多くあります。
家族構成や財産の状況、税金、名義、そして何より、ご本人がその不動産を将来どうしてほしいと考えているのか、そうした情報が整理されているかどうかで、その後の選択肢は大きく変わるんですね。

終活は、「その時が来てから」始めるものではありません。
将来の自分や家族が安心して暮らせるよう、元気な今だからこそ少しずつ準備を始める。
その第一歩として、信頼できる専門家に相談してみることが、何より大切なのかもしれません。

この対談に登場した先生

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